こんにちは、サイト管理人Tsukasaです。
「眺めが良さそう」と気に入った土地が、実は家を建てられない傾斜地だったら…。
そんな悪夢のような事態を避けるため、傾斜地の購入や建築には特別な注意が必要です。
なぜ傾斜地では「建築確認」が通らないケースがあるのか、その背景には安全に関わる様々な法律や条例が関わっています。
この記事では、傾斜地で建築確認が通らない根本的な原因から、購入前に危険な土地を見抜く方法、そしてもし所有してしまった場合の具体的な解決策まで、あなたの疑問や不安を解消するための情報を網羅的に解説します。
◆このサイトでわかる事◆
- 傾斜地で建築確認が通らない法的な理由
- 危険な傾斜地を見抜くためのチェックポイント
- 擁壁や造成工事など、問題を解決する具体的な方法
- 建築確認が通らない土地の売却や活用法
- 専門家(建築士など)に相談する最適なタイミング
- 擁壁工事の費用相場や住宅ローンの注意点
- 安心して傾斜地の家づくりを進めるための知識
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傾斜地で建築確認が通らない土地とは?
◆この章のポイント◆
- そもそも「建築確認」とは何か
- なぜ傾斜地は建築許可が下りにくいのか
- 「がけ条例」が最大の関門
眺めの良い暮らしを夢見て傾斜地の購入を検討したものの、「建築確認が通らない土地」という言葉に不安を感じていませんか。
この章では、まず基本となる「建築確認」の役割と、なぜ傾斜地が特に厳しい審査の対象となるのかを解き明かします。
特に、多くの自治体で定められている「がけ条例」が、傾斜地での建築計画においていかに重要な関門となるのか、その核心に迫ります。
正直言うと、この「がけ条例」を理解せずして傾斜地の話は始まりません。
あなたの計画が安全基準を満たし、安心して家を建てるための第一歩となる知識を、ここでしっかりと押さえていきましょう。
そもそも「建築確認」とは何か
家を建てる前に、その計画が法律や条例に違反していないかを行政がチェックする手続き、それが「建築確認」です。
これは、建物の安全性や周辺環境への影響を確保するための、いわば「お墨付き」をもらうための非常に重要なプロセス。
建築基準法をはじめ、都市計画法など、様々なルールに基づいて、建物の構造、高さ、配置、そして敷地の安全性などが厳しく審査されます。
この確認を受けずに工事を始めることはできず、もし違反すれば工事の中止や建物の撤去を命じられることさえあります。
結局のところ、建築確認とは、あなたとあなたの家族が安全に暮らすための最低限のルールを守れているかを確認する、家づくりのスタートラインに立つためのパスポートのようなものなのです。
平坦な土地であれば比較的スムーズに進むことも多いのですが、傾斜地の場合は、この「敷地の安全性」という点で特に厳しい目が向けられることになります。
なぜ傾斜地は建築許可が下りにくいのか
では、なぜ傾斜地だと建築確認のハードルが上がるのでしょうか。
答えはシンプルで、「安全上のリスクが高い」と判断されやすいからです。
行政が最も恐れているのは、大雨や地震による「がけ崩れ」や「土砂災害」。
傾斜地に家を建てるということは、常にそうした自然災害のリスクと隣り合わせになる可能性を意味します。
そのため、建築基準法では「建築物の敷地は、これに接続する道路の境より高くなつてはならず、また、建築物の地盤面は、これに隣接する土地の地盤面より高くなつてはならない」といった原則があり、安全性を確保するための擁壁(ようへき)の設置など、追加の安全対策が義務付けられています。
これらの対策には専門的な設計や多額の費用がかかるため、計画自体が現実的でないと判断されたり、そもそも安全対策を講じることが物理的に困難な土地であったりする場合、建築許可は下りにくくなるのです。
「がけ条例」が最大の関門
傾斜地での建築を考える上で、避けては通れないのが、各都道府県や市町村が定めている「がけ条例」です。
これは、建築基準法を補強する形で、地域の実情に合わせてがけ崩れのリスクから住民の安全を守るために作られた独自のルール。
多くのがけ条例では、「高さ2〜3mを超えるがけ」や「傾斜度が30度を超えるがけ」の近くに建物を建てる際に、厳しい制限を設けています。
具体的には、「がけの下端から、がけの高さの2倍の距離を離さなければならない」といったセットバック規制や、安全な擁壁の設置が義務付けられます。
もし、あなたの土地がこの条例の規制範囲内にある場合、たとえ敷地が広くても、実際に家を建てられるスペースが極端に狭くなってしまうことがあります。
ここが肝心なのですが、この「がけ条例」の基準は自治体によって微妙に異なるため、土地がある市区町村の役所の建築指導課などで必ず事前に確認することが、失敗しないための絶対条件と言えるでしょう。
| POINT 「建築確認」は安全な家を建てるための必須手続き 傾斜地は「がけ崩れ」のリスクから審査が厳しい 自治体独自の「がけ条例」が最大のハードルになる 土地購入前に役所で条例の確認をすることが絶対条件 |
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傾斜地で建築確認が通らない土地の代表的な原因
◆この章のポイント◆
- 安全基準を満たさない古い擁壁の存在
- 30度を超える急すぎる勾配
- 接道義務を果たしていない立地
- 災害リスクが高いエリア指定
「がけ条例」という大きなハードルがあることはご理解いただけたかと思います。
しかし、建築確認が通らない原因はそれだけではありません。
この章では、より具体的に、どのような土地が「建築不可」の烙印を押されてしまうのか、その代表的な4つの原因を深掘りします。
すでに存在する擁壁が実は危険な状態だったり、土地の傾斜が急すぎたり、あるいは法律で定められた道路に接していなかったり…。
これらのポイントは、素人目には判断が難しいものも含まれますが、知っているか知らないかで、あなたの土地選びの未来が大きく変わる、非常に重要な知識です。
安全基準を満たさない古い擁壁の存在
傾斜地には、土砂の崩壊を防ぐためにコンクリートなどで作られた壁、つまり「擁壁」が設置されていることがよくあります。
一見、頑丈な擁壁があれば安心だと思いがちですが、ここが大きな落とし穴。
実は、その擁壁が現在の建築基準法の基準を満たしていない「不適格擁壁」であるケースが非常に多いのです。
特に、古い擁壁には、作られた当時は合法でも、その後の法改正で基準外となったものや、そもそも許可を受けずに作られた違法なものが存在します。
ひび割れや水抜き穴の不備、変形などが見られる擁壁は危険信号。
もし敷地内の擁壁が不適格だと判断されれば、建築確認を通すためには、数百万円から、時には1000万円以上かけて擁壁を造り直す必要が出てきます。
土地の価格が安くても、この擁壁の再構築費用を考えると、結果的に高くついてしまうことも少なくありません。
30度を超える急すぎる勾配
土地の傾斜角度、つまり「勾配」も建築確認を左右する重要な要素です。
多くの法律や条例で、「30度」という角度がひとつの基準とされています。
傾斜が30度を超えると、それはもはや「傾斜地」ではなく「がけ」として扱われ、前述の「がけ条例」の厳しい規制対象となる可能性が非常に高くなります。
30度と聞いてもピンとこないかもしれませんが、スキーの上級者コースに匹敵するほどの急な角度です。
このような土地では、安全な建物を建てるための造成工事が大掛かりになり、コストが跳ね上がるだけでなく、そもそも技術的に建築が難しいと判断されることも。
正直言うと、30度を超える土地は、専門家が見ても二の足を踏むケースが多く、購入を検討する際は最大限の警戒が必要です。
接道義務を果たしていない立地
これは傾斜地に限った話ではありませんが、見落とされがちなのが「接道義務」です。
建築基準法では、建物を建てる敷地は「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」と定められています。
これは、火災や救急といった緊急車両がスムーズに進入できるようにするためのルールです。
傾斜地の場合、道路との高低差が激しく、実質的に道路から敷地内に入れない場合や、そもそも接している道が建築基準法上の「道路」として認められていないケース(いわゆる「未判定道路」や「通路」など)があります。
見た目は道でも、法律上は道ではない、なんてことも珍しくありません。
この接道義務を満たせなければ、原則として家を建てることはできませんので、土地の形状だけでなく、その土地がどの道にどう接しているかを役所で必ず確認する必要があります。
災害リスクが高いエリア指定
近年、頻発する自然災害を受け、法律による規制も強化されています。
特に傾斜地が関係するのが「土砂災害防止法」です。
この法律に基づき、都道府県は「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」や「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」を指定しています。
イエローゾーンは警戒避難体制を整備すべき区域ですが、レッドゾーンに指定されると、建築には厳しい制限がかかります。
具体的には、特定の開発行為が原則禁止されたり、居室の壁や基礎を鉄筋コンクリート造にするなど、建物の構造に厳しい規制が課せられたりします。
これにより、建築コストが大幅に増加するだけでなく、そもそも住宅ローンが借りにくくなるというデメリットも。
ハザードマップなどで自分の検討している土地がこれらのエリアに含まれていないかの確認は、もはや常識と言えるでしょう。
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傾斜地で建築確認が通らない土地を見抜く方法
◆この章のポイント◆
- 役所の建築指導課で必ず事前相談
- ハザードマップで土地のリスクを確認
- 現地で擁壁の状態を自分の目で見る
- 不動産会社に重要事項説明書を詳しく聞く
建築確認が通らない土地の恐ろしさ、その具体的な原因が見えてきましたね。
では、どうすればそうした「訳あり物件」を契約前に見抜くことができるのでしょうか。
この章では、後悔しない土地選びのために、あなた自身でできる具体的な調査方法を4つのステップで解説します。
専門家任せにするのではなく、自らの足と目を使って確認することが、何よりも確実なリスク回避に繋がります。
ここが肝心なのですが、少しの手間を惜しんだがために、数千万円の買い物で取り返しのつかない失敗をするわけにはいきません。
プロが実践するチェックポイントを学び、賢い消費者になりましょう。
役所の建築指導課で必ず事前相談
最も確実で、そして絶対に欠かせないのが、土地が所在する市区町村の役所(建築指導課や都市計画課など)への事前相談です。
不動産会社から受け取った土地の資料(公図や測量図など)を持参し、「この土地に家を建てたいのですが、法的な規制はありますか?」と直接聞きましょう。
担当者は、がけ条例、接道義務、都市計画法上の制限、土砂災害警戒区域の指定など、その土地に関わるあらゆる法的リスクを調査してくれます。
私自身、何度も役所に足を運びましたが、「この道は建築基準法上の道路ではありませんね」とか「この擁壁は許可番号が見当たらないので、造り直しが必要かもしれません」といった、素人では到底知り得ない情報を教えてもらった経験があります。
不動産会社の情報を鵜呑みにせず、行政の公式な見解を得ること。これが鉄則です。
ハザードマップで土地のリスクを確認
次に、誰でも簡単にできるのがハザードマップの確認です。
各自治体がウェブサイトで公開しているハザードマップを見れば、検討中の土地が土砂災害、洪水、津波などのリスクエリアに指定されているかが一目でわかります。
特に確認すべきは、前章でも触れた「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」と「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」です。
もしレッドゾーンに指定されていれば、建築には厳しい制限がかかるため、その時点で計画を見直す必要があるかもしれません。
また、イエローゾーンであっても、土砂災害のリスクがあることに変わりはありません。
将来的な資産価値や、何よりも家族の安全を考える上で、ハザードマップのチェックは土地選びの基本中の基本と言えるでしょう。
現地で擁壁の状態を自分の目で見る
資料や地図だけではわからない情報は、現地に足を運んで自分の目で確かめるしかありません。
特に傾斜地の場合、擁壁の状態は入念にチェックしてください。
見るべきポイントは、大きなひび割れ(特に横方向の亀裂は危険)、擁壁が膨らんでいないか、水抜き穴から水がきちんと排水されているか、などです。
擁壁の種類(コンクリートブロック、間知ブロック、RC擁壁など)によっても耐久性は異なります。
古い玉石積みの擁壁などは、現在の基準では強度が認められないケースがほとんどです。
専門家でなくても、明らかに劣化している、手入れがされていないと感じたら、それは危険なサインかもしれません。
少しでも不安を感じたら、不動産会社を通じて専門家(建築士など)にインスペクション(建物状況調査)を依頼することを強くお勧めします。
不動産会社に重要事項説明書を詳しく聞く
不動産の契約前には、宅地建物取引士から「重要事項説明」を受ける義務があります。
この説明書には、これまで調べてきたような、がけ条例や土砂災害警戒区域の指定、接道義務に関する情報など、その土地に関する法的な制限がすべて記載されています。
しかし、専門用語が多く、ただ聞き流してしまう人も少なくありません。
ここが重要なのですが、わからない言葉や少しでも疑問に思った点は、その場で遠慮なく質問してください。
「この『宅地造成工事規制区域』とは具体的にどういうことですか?」、「この擁壁は検査済証がありますか?」など、具体的に突っ込んで聞く姿勢が大切です。
誠実な不動産会社であれば、丁寧に説明してくれるはずです。
もし、説明が曖昧だったり、質問をはぐらかすような場合は、その契約自体を慎重に考え直すべきかもしれません。
| POINT 最も重要なのは役所の建築指導課への事前相談 ハザードマップで災害リスクを必ず確認する 現地で擁壁のひび割れや膨らみを自分の目でチェック 重要事項説明書は納得できるまで徹底的に質問する |
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建築確認が通らない土地問題を解決する具体的アプローチ
◆この章のポイント◆
- 擁壁の再構築や補強工事にかかる費用
- 造成工事による土地の改良計画
- 構造計算で建物の安全性を証明する
- 専門家(建築士・土地家屋調査士)への相談
もし、検討している土地や所有している土地が、このままでは建築確認が通らないと判明した場合、諦めるしかないのでしょうか。
いえ、そんなことはありません。
多くの場合、適切な対策を講じることで、問題をクリアし、夢のマイホームを実現することが可能です。
この章では、そのための具体的な解決策を掘り下げていきます。
ただし、これらのアプローチには相応の費用と専門知識が必要となります。
土地の安さに惹かれて購入した結果、対策費用で予算オーバー、なんてことにならないよう、解決策の現実的な側面をしっかりと理解していきましょう。
擁壁の再構築や補強工事にかかる費用
建築確認が通らない最大の原因の一つである「不適格な擁壁」
これを解決する最も直接的な方法は、擁壁を現在の基準に適合するよう造り直す「再構築」か、既存の擁壁を補強する工事です。
しかし、これには覚悟が必要です。
擁壁工事の費用は、その高さや長さ、工法によって大きく変動しますが、一般的に1平方メートルあたり5万円から10万円が目安と言われています。
例えば、高さ2m、長さ20mの擁壁を造り直すとなると、単純計算でも200万円から400万円。
これに設計費や古い擁壁の解体・処分費、地盤調査費などが加わると、総額で500万円を超えることも珍しくありません。
土地の購入価格にこの費用が上乗せされることを考えると、本当にその土地に価値があるのか、慎重な判断が求められます。
造成工事による土地の改良計画
土地の勾配が急すぎる場合や、形状が複雑な場合には、土地を削ったり(切土)、土を盛ったり(盛土)して、建物を建てられる平坦な部分を作り出す「造成工事」が必要になります。
造成工事は、単に土を動かすだけではありません。
雨水の排水計画や、盛土部分の地盤改良など、安全性を確保するための様々な工事が付随します。
特に、2023年に法改正された「盛土規制法」により、宅地造成に関する規制はより一層厳しくなっています。
一定規模以上の造成工事を行う場合は、都道府県知事の許可が必要となり、その手続きも複雑です。
造成工事の費用も、その規模によりますが、数百万単位の追加費用が発生することを覚悟しておくべきでしょう。
構造計算で建物の安全性を証明する
擁壁の再構築や大規模な造成工事が難しい場合でも、別の解決策が存在します。
それは、建物の側で工夫をする方法です。
例えば、がけ条例の規制をクリアするために、がけから一定の距離を確保した上で、建物の基礎を深くしたり、鉄筋コンクリート造(RC造)のような頑丈な構造を採用したりする方法です。
その際、その建物が地震や土砂の圧力に対してどれだけ安全かを数学的に証明する「構造計算」が非常に重要になります。
この詳細な構造計算書を提出し、建物の安全性が客観的に証明できれば、建築確認が下りる可能性があります。
もちろん、特殊な基礎工事や頑丈な構造は建築コストを押し上げますが、土地に手を加えるよりもトータルコストを抑えられる場合もあります。
これは建築士の腕の見せ所とも言えるでしょう。
専門家(建築士・土地家屋調査士)への相談
ここまで読んでいただいて分かる通り、傾斜地の問題解決は素人判断では不可能です。
擁壁、造成、構造計算、いずれのアプローチを取るにしても、専門家の知識と経験が不可欠です。
ここで重要なのが、相談するタイミングと相手。
理想的なのは、土地の売買契約を結ぶ前に、傾斜地や擁壁の設計に詳しい一級建築士に相談することです。
建築士は、その土地で建築が可能か、どのような対策が必要で、どれくらいの費用がかかるかを概算してくれます。
また、土地の境界や正確な面積、高低差を測量する「土地家屋調査士」も頼りになる存在です。
相談料や調査費用はかかりますが、数千万円の買い物で失敗するリスクを考えれば、これは必要不可欠な「保険」と言えるでしょう。
もし建築確認が通らない土地を所有してしまったら
◆この章のポイント◆
- 売却する場合の注意点と価格への影響
- 建築を伴わない土地の活用法
- 隣地の協力で道を開く可能性
これまでは主に土地の購入を検討している方向けの話でしたが、中にはすでに建築確認が通らない土地を相続などで所有してしまっている方もいるかもしれません。
家を建てられないとなると、固定資産税だけがかかる「負の資産」に思えて、途方に暮れてしまいますよね。
しかし、道が完全に閉ざされたわけではありません。
この章では、そうした厳しい状況に置かれた方のために、売却という選択肢や、建築以外の活用方法など、次の一手について考えていきます。
厳しい現実もありますが、可能性を一つずつ探っていくことが重要です。
売却する場合の注意点と価格への影響
建築確認が通らない、つまり「再建築不可」の土地を売却することは可能ですが、相応の覚悟が必要です。
当然ながら、自由に家を建てられる土地と比べて、その資産価値は大幅に下がります。
近隣の相場の3割から5割程度、場合によってはそれ以下になることも覚悟しなければなりません。
売却する際の最大の注意点は、買主に対して「建築確認が通らない」という事実を隠さずに伝えることです。
この告知を怠ると、契約後に「契約不適合責任」を問われ、契約の解除や損害賠償を請求される可能性があります。
買主は、隣地の所有者や、訳あり物件を専門に扱う不動産会社などに限られるでしょう。
焦らず、複数の不動産会社に査定を依頼し、最も良い条件を提示してくれる相手を探すことが重要です。
建築を伴わない土地の活用法
家は建てられなくても、土地を活用する方法はいくつか残されています。
例えば、資材置き場や駐車場として、近隣の工務店や住民に貸し出すという方法。
ただし、傾斜地の場合は、整地費用がかかるため、収益性と見合うかどうかの計算が必要です。
また、最近では太陽光発電システムの設置場所として活用するケースもあります。
日当たりが良い傾斜地であれば、検討の価値はあるかもしれません。
他にも、家庭菜園やガーデニングスペースとして利用したり、バイクのガレージを設置したり(※建築確認が不要な規模の工作物に限る)と、用途は限られますが可能性はゼロではありません。
固定資産税を払い続けるだけよりは、少しでも収益を生む方法がないか、柔軟な発想で考えてみましょう。
隣地の協力で道を開く可能性
建築不可の原因が「接道義務」を満たしていないことである場合、最後の手段として「隣地の協力」という道があります。
例えば、隣の土地の一部を買い取らせてもらう、あるいは借りることで、公道までの通路を確保し、接道義務をクリアするという方法です。
もちろん、これは隣地所有者の合意がなければ成立しない、非常にハードルの高い方法です。
私も昔、ある案件で粘り強く交渉したことがありますが、結局は価格面で折り合いがつかず、断念した苦い経験があります。
しかし、もし隣地が更地であったり、所有者が協力的であったりすれば、可能性はあります。
この方法が成功すれば、「再建築不可」の土地が「建築可能」な土地に生まれ変わり、資産価値が劇的に向上します。
ダメ元でも、一度、誠意を持って相談してみる価値はあるかもしれません。
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傾斜地の建築確認に関するよくある質問(FAQ)
◆この章のポイント◆
- 擁壁工事の費用相場は?
- ローンは組めるの?
- 固定資産税はどうなる?
- 隣地が原因で建築できない場合は?
さて、ここまで傾斜地と建築確認について詳しく解説してきましたが、まだ具体的な疑問や細かい不安が残っているかもしれません。
この最終章では、これまでにお客様からよく寄せられた質問をピックアップし、一問一答形式で簡潔にお答えしていきます。
お金の問題から、ご近所付き合いに関わることまで、リアルな悩みが中心です。
あなたの疑問も、この中にきっとあるはず。
最後の不安をここで解消し、スッキリした気持ちで次のステップに進みましょう。
擁壁工事の費用相場は?
結論から言うと、擁壁工事の費用はケースバイケースで大きく変動します。
一般的な目安としては、コンクリート擁壁で1平方メートルあたり5万円~10万円程度を見ておくと良いでしょう。
ただし、これはあくまで目安。
工事車両が入れないような場所では、人件費や材料の運搬費が余計にかかりますし、古い擁壁の解体・処分費用も別途必要です。
正確な金額を知るためには、必ず複数の専門業者から見積もりを取ることを強くお勧めします。
ローンは組めるの?
これも非常に多い質問ですが、答えは「条件による」となります。
擁壁の造り直しや大規模な造成が必要な土地は、金融機関から「担保価値が低い」と見なされ、住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があります。
特に、建築確認が下りていない段階では、ローンを組むことはほぼ不可能です。
対策工事を行い、無事に建築確認が取得できればローンの対象にはなりますが、工事費用を含めて融資を受けられるかは、自己資金の額や個人の信用情報にも左右されます。
土地の契約前に、金融機関の担当者に相談しておくのが賢明です。
固定資産税はどうなる?
建築確認が通らず家が建てられない土地でも、所有している限り固定資産税は毎年課税されます。
ただし、その評価額は、家を建てられる一般的な宅地と比べて低く算定されるのが普通です。
「建築不可」という利用価値の低さが評価額に反映されるためです。
しかし、注意点があります。
住宅が建っていない更地の場合、固定資産税の軽減措置が適用されないため、評価額が低くても税額が思ったより安くならないケースもあります。
具体的な税額は、毎年送られてくる納税通知書で確認するか、市町村の資産税課にお問い合わせください。
隣地が原因で建築できない場合は?
自分の土地に問題はなくても、隣地の擁壁が崩れそうで危険なため、建築許可が下りないというケースも稀にあります。
これは非常に厄介な問題です。
原則として、危険な擁壁の所有者(つまり隣地の人)が修繕する義務を負いますが、相手が費用面などから応じてくれないことも少なくありません。
まずは、誠意をもって話し合いの場を持つことが第一歩です。
それでも解決しない場合は、行政に相談したり、最終的には弁護士を立てて法的な手段を検討することになります。
感情的な対立は避け、あくまで冷静に、専門家を交えて解決の道を探ることが大切です。
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傾斜地で建築確認が通らない土地についての総まとめ
本日のまとめ
- 傾斜地で建築確認が難しい主因は安全リスク
- 自治体ごとの「がけ条例」が最大の法的ハードル
- 古い擁壁は現在の基準に合わない「不適格」が多い
- 傾斜30度超は「がけ」と見なされ規制が厳しくなる
- 道路に2m以上接する「接道義務」の確認は必須
- 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は建築が困難
- 土地購入前には必ず役所の建築指導課へ相談する
- ハザードマップで災害リスクの事前確認を徹底する
- 現地では擁壁のひび割れや膨らみを自分の目で見る
- 擁壁の再構築には数百万円以上の高額な費用がかかる
- 造成工事や建物の構造計算で問題を解決できる場合もある
- 専門家である建築士への早期相談が失敗を防ぐ鍵
- 建築不可の土地でも売却や駐車場などでの活用は可能
- 擁壁工事や造成費用で住宅ローンの審査は厳しくなる
- 土地選びは価格だけでなく安全対策の費用も考えることが重要
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売れる家と売れない家の違いは?
再建築不可の土地を売却したいあなたへ!
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参考サイト
宅地造成及び特定盛土等規制法(通称:盛土規制法)について – 国土交通省
傾斜地・がけ地の購入を検討。どんなリスクやメリットがあるの? | 住まいの本当と今を伝える情報サイト【LIFULL HOME’S PRESS】
傾斜地の土地に家を建てたい!擁壁(ようへき)工事の費用は誰が払う?注意点やメリット・デメリットを解説 | スーモ
がけ条例とは?崖地に家を建てる際の制限や注意点について解説|不動産・住宅サイト アットホーム
擁壁(ようへき)とは|知っておきたい不動産用語|公益社団法人 横浜市宅建協会


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